離婚後の住まい探しでは、収入が「借りられるか」と「無理なく住み続けられるか」の両方に影響します。賃貸住宅では家賃の支払い能力や勤務状況、住宅ローンでは年収や借入状況などを確認されるのが一般的です。
ただし、収入が少ないから住まいを借りられないと決まっているわけではありません。家賃を下げる、保証会社や連帯保証人を利用する、公営住宅などを検討するなど、条件を分けて探すことが大切です。
離婚後の住まい探しで収入が確認される理由
収入は、毎月の家賃や住宅ローンを継続して支払えるかを判断する材料になります。審査では収入だけでなく、雇用形態、勤続年数、預貯金、他の借入、保証人や保証会社の利用可否などが確認されることがあります。
そのため、同じ年収でも、家賃やローンの金額、勤務状況、子どもの有無などによって判断が変わります。年収だけで可否が決まるわけではありません。
賃貸住宅では収入が家賃の審査に影響する
賃貸住宅では、申込者が家賃を継続して支払えるかが主な確認事項です。一般的な目安として、家賃を手取り月収の3分の1以内に収める考え方がありますが、これは法律で決まった基準ではありません。
実際の審査基準は、貸主、管理会社、保証会社によって異なります。家賃以外に必要な管理費、共益費、駐車場代なども含めて、毎月の住居費を計算してください。
収入が少ない場合に確認されやすい項目
- 勤務先、雇用形態、勤続年数
- 給与明細や源泉徴収票など、収入を確認できる書類
- 預貯金や退職金などの資産
- 連帯保証人を立てられるか
- 保証会社を利用できるか
- 児童扶養手当など、継続して受け取る公的給付を収入として扱えるか
ただし、手当や養育費を審査上の収入として扱うかどうかは、契約先によって異なります。受給を証明できる書類や、養育費の取り決めを示す書類が必要になる場合もあるため、申込み前に不動産会社へ確認しましょう。
離婚後に収入が変わる場合は、現在の収入で考える
離婚をきっかけに退職したり、勤務時間を短くしたりする場合は、以前の世帯年収ではなく、今後本人が得る収入を基準に住まいを選ぶ必要があります。
たとえば、離婚前は配偶者の収入を含めて家賃を支払えていても、離婚後に一人の収入で同じ住居費を負担すると、家計が大きく変わります。今後の手取り収入から、食費、光熱費、通信費、保険料、教育費、養育費などを差し引いて、住居費に充てられる金額を決めてください。
住居費を決めるときの計算例
仮に、離婚後の手取り月収が20万円で、毎月の固定費と生活費が13万円、貯蓄に2万円を回すとします。この場合、家賃以外に使う金額は15万円なので、家賃や管理費などの住居費に充てられる上限は5万円です。
計算式は次のとおりです。
20万円-13万円-2万円=5万円
これは説明のための仮定例であり、実際に必要な生活費や適正な家賃は、子どもの人数、地域、車の有無、養育費などで変わります。審査に通る家賃と、無理なく払える家賃は同じとは限りません。
養育費や児童扶養手当は収入として扱われる?
養育費や児童扶養手当などを収入として考えられるかは、住まいの種類と審査を行う相手によって異なります。賃貸住宅の申込みでは、継続的な入金を確認できる通帳の記録や証明書類の提出を求められることがあります。
一方、住宅ローンや公営住宅の収入基準では、収入の扱いが制度ごとに定められています。養育費の全額が同じように扱われるとは限らないため、申込み先の募集要項や金融機関に確認してください。
養育費を収入として説明する場合は、次のような資料を整理しておくと確認しやすくなります。
- 離婚協議書や公正証書など、養育費の取り決めが分かる書類
- 過去の入金が分かる通帳の記録
- 児童扶養手当などの受給を確認できる書類
- 給与明細、源泉徴収票、確定申告書などの収入資料
収入に不安がある場合の住まいの選択肢
収入が少ない、離婚直後で勤務先が決まっていない、ひとり親として生活するなどの場合は、一般の賃貸住宅だけに絞らず、次の選択肢も比較してください。
| 選択肢 | 収入との関係 | 確認すること |
|---|---|---|
| 一般の賃貸住宅 | 家賃を支払える収入や保証の有無が審査に影響する | 家賃、初期費用、保証会社の条件 |
| 公営住宅 | 世帯収入などの基準が設けられていることがある | 募集時期、収入基準、対象世帯、抽選の有無 |
| UR賃貸住宅などの制度住宅 | 物件や制度ごとに収入または貯蓄の条件がある | 必要な収入、貯蓄、保証人や保証会社の条件 |
| 親族との同居 | 家賃負担を抑えられる可能性がある | 生活費の分担、子どもの生活環境、同居期間 |
公営住宅や制度住宅の条件は、自治体や運営主体、募集区分によって異なります。「収入が少ないから必ず入居できる」「保証人が不要」とは限らないため、募集案内で対象世帯と申込条件を確認しましょう。
離婚直後で無職の場合はどうする?
無職でも住まいを探せる場合はありますが、就職後の収入がまだないと、一般の賃貸住宅では支払い能力を説明しにくくなることがあります。預貯金、内定通知書、雇用契約書、保証人、保証会社の利用などで判断される可能性があります。
不動産会社には、離婚直後であることだけでなく、今後の収入の見込みを具体的に伝えましょう。たとえば「何月から勤務予定か」「月収はいくらか」「初回給与の支給日はいつか」「家賃を支払う資金をどの程度確保しているか」を説明できると、相談する条件を整理しやすくなります。
ただし、内定や就職予定があっても、審査に通ることが保証されるわけではありません。契約前に、無職の状態でも申込み可能か、必要書類は何かを確認してください。
離婚後の住まい探しで準備する書類
収入と支払い能力を説明するため、次の書類を準備しておくと申込みが進めやすくなります。必要書類は物件や申込み先によって異なります。
- 本人確認書類
- 源泉徴収票、給与明細、確定申告書などの収入証明
- 雇用契約書や内定通知書
- 預貯金を確認できる資料
- 健康保険証など勤務先を確認できる書類
- 養育費や公的給付を確認できる書類
- 連帯保証人に関する書類
離婚前の配偶者の収入証明を提出できない場合でも、現在の申込者本人の収入や資産を基準に審査できるか相談できることがあります。提出できない書類を無理に用意しようとせず、代わりに使える資料を不動産会社や管理会社へ確認してください。
住まいを決める前に確認したい費用
収入とのバランスを見るときは、月々の家賃だけでなく、契約時と入居後の費用を分けて計算します。
- 敷金、礼金、仲介手数料
- 前家賃、日割り家賃
- 保証会社の初回保証料と更新料
- 火災保険料
- 鍵交換費用
- 引っ越し費用や家具・家電の購入費
- 管理費、共益費、駐車場代
これらの金額や有無は物件ごとに異なります。総額が分からないまま申込みを進めず、初期費用の見積もりと、入居後に毎月必要な費用の両方を確認しましょう。
離婚後の住まい探しで最初にすること
最初に、離婚後に毎月確実に入る手取り収入を整理し、家賃・管理費・共益費などを含めた住居費の上限を決めてください。そのうえで、不動産会社や自治体の窓口に、収入状況、子どもの人数、就職予定、養育費や公的給付の有無を伝えて相談します。
審査に通るかだけでなく、離婚後の収入で支払い続けられるかを基準に住まいを選ぶことが重要です。収入が変動する場合や、養育費の入金が安定していない場合は、受け取れない月があっても生活できる家賃かどうかも確認しましょう。







