離婚後に女性が扶養変更をする場合、まず元配偶者の健康保険の扶養から外れる手続きを行い、その後の健康保険と年金を自分の勤務先または自治体で切り替えます。税金の扶養や子どもの扶養は別の制度のため、健康保険と同じ手続きだけでは完了しません。
必要な手続きは、主に①健康保険、②年金、③税金、④子どもに関する制度に分けて考えると整理しやすくなります。
離婚後の扶養変更で最初に行う手続き
最初に、元配偶者が加入していた健康保険の勤務先または健康保険者へ、離婚日と扶養から外れる日を確認してください。離婚すると、元配偶者の健康保険の被扶養者でいられなくなるため、資格変更の手続きが必要です。
- 元配偶者の勤務先または健康保険者に、被扶養者から外れる手続きを依頼する
- 健康保険資格喪失証明書など、切り替えに必要な書類を受け取る
- 自分の勤務先の健康保険に加入するか、国民健康保険へ加入する
- 国民年金の切り替えが必要な場合は、住所地の市区町村で手続きをする
- 税金や子どもの制度について、勤務先や市区町村へ別途届け出る
元配偶者の扶養から外れる日は、健康保険者が確認して決めることがあります。離婚日を伝えたうえで、資格喪失日と必要書類を確認しましょう。
健康保険は勤務先の保険か国民健康保険へ変更する
離婚後の健康保険は、勤務先の健康保険に加入するか、国民健康保険に加入するのが基本です。勤務先の加入条件を満たす場合は、勤務先の健康保険へ切り替えます。勤務先の健康保険に加入しない場合は、住所地の市区町村で国民健康保険の加入手続きを行います。
自分の勤務先の健康保険に加入する場合
離婚前から働いていて、勤務先の健康保険の加入対象になっている場合は、勤務先へ離婚したことと、元配偶者の扶養から外れることを伝えます。勤務先が健康保険の資格取得手続きを行います。
確認されることがある書類には、次のようなものがあります。勤務先や健康保険者によって異なるため、事前に確認してください。
- 健康保険資格喪失証明書
- 離婚日を確認できる書類
- 本人確認書類
- 年金手帳、基礎年金番号通知書など
国民健康保険に加入する場合
勤務先の健康保険に加入しない場合は、市区町村の国民健康保険担当窓口で手続きをします。一般に、元配偶者の健康保険を脱退したことを示す資格喪失証明書を求められます。
国民健康保険の加入手続きには期限が設けられているため、資格喪失日が分かったら早めに手続きしてください。自治体によって必要書類や案内方法が異なるため、窓口へ行く前に確認すると安心です。
手続きが遅れても、資格喪失日までさかのぼって保険料が計算されることがあります。健康保険証や資格確認書が手元にない期間でも、医療機関の受診を控えるのではなく、加入手続きの状況を市区町村や医療機関に相談してください。
年金は第3号被保険者から切り替える
離婚前に、元配偶者の厚生年金に扶養される国民年金第3号被保険者だった場合、離婚後は第3号のままではいられません。自分の勤務先の厚生年金に加入するか、国民年金第1号被保険者への変更が必要です。
| 離婚後の状況 | 必要な変更 | 主な手続き先 |
|---|---|---|
| 勤務先の厚生年金に加入する | 勤務先で厚生年金の資格取得 | 勤務先 |
| 厚生年金に加入しない | 国民年金第1号被保険者への変更 | 住所地の市区町村 |
| 離婚後に再婚し、配偶者の扶養に入る | 再婚後の配偶者の勤務先で被扶養者・第3号の手続き | 再婚後の配偶者の勤務先など |
国民年金への変更が必要な場合は、離婚日や元配偶者の扶養から外れた日を確認し、早めに市区町村の年金窓口へ相談してください。収入が少なく保険料の支払いが難しい場合は、免除や猶予の制度を利用できる可能性があります。ただし、利用には所得などの条件があります。
税金の扶養は健康保険とは別に変更する
税金では、女性本人が「自分を扶養に入れる」手続きをするわけではありません。離婚によって元配偶者との配偶者控除などの関係が変わり、子どもをどちらの親の控除対象にするかも確認が必要になります。
勤務先で年末調整を受けている場合
会社員の場合は、勤務先に離婚したことを伝え、年末調整の扶養控除等申告書などを修正します。離婚後に子どもを扶養している場合でも、子どもの年齢や所得、他の親が控除対象にしているかによって扱いが変わります。
離婚した女性本人に一定の所得要件などが当てはまる場合は、所得税のひとり親控除を受けられる可能性があります。ひとり親控除は自動的に適用されるとは限らないため、勤務先の年末調整で申告するか、必要に応じて確定申告を行います。
離婚した年の税金に注意する
配偶者控除やひとり親控除などは、所得や家族関係を基準日に判定します。離婚した日、年末時点の状況、子どもの所得などによって結論が変わるため、「離婚したから必ず控除が受けられる」とは限りません。
勤務先には、次の内容を伝えると確認が進みます。
- 離婚した日
- 子どもと同居しているか
- 子どもの年齢と所得の有無
- 子どもを税金上の扶養親族にしている人
- 自分の年間所得の見込み
子どもの健康保険上の扶養も変更する
子どもが元配偶者の健康保険の扶養に入っている場合は、親権者や同居している親が変わっただけで自動的に保険が変更されるとは限りません。子どもをどちらの健康保険の被扶養者にするかを、加入先の健康保険者へ確認します。
一般には、子どもを主に養育している親の収入や、加入している健康保険の条件などを確認して判断します。ただし、親権の有無だけで健康保険上の扶養が決まるとは限りません。
子どもの保険を変更する場合は、元配偶者の勤務先で子どもの扶養削除を行い、その後、自分の勤務先の健康保険または国民健康保険へ加入させる手続きを行います。必要書類や手順は健康保険者ごとに異なります。
児童手当やひとり親向け制度も別に確認する
離婚後に子どもと暮らす親が変わった場合、児童手当の受給者変更が必要になることがあります。また、児童扶養手当やひとり親家庭向けの医療費助成などを利用できる可能性もあります。
これらは健康保険や税金の扶養とは別の制度です。市区町村の子育て支援窓口で、次の制度をまとめて確認してください。
- 児童手当の受給者変更
- 児童扶養手当
- ひとり親家庭向けの医療費助成
- 保育料や就学援助
- 自治体独自のひとり親支援
制度によって申請期限や所得制限が異なります。離婚届を提出した後、子どもの住所や同居状況が変わる場合は、できるだけ早く市区町村へ相談してください。
離婚後の扶養変更に必要になりやすい書類
必要書類は手続き先によって異なりますが、次の書類が用意されることがあります。
- 本人確認書類
- マイナンバーカードまたはマイナンバーが分かる書類
- 健康保険資格喪失証明書
- 離婚日を確認できる戸籍謄本など
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 子どもの健康保険資格に関する書類
- 振込先口座が分かるもの
- 所得を確認できる書類
戸籍謄本や所得証明書が必ず必要とは限りません。提出前に、勤務先、健康保険者、市区町村の担当窓口へ必要書類を確認してください。
手続きが遅れた場合の注意点
元配偶者の健康保険の資格がなくなった後に、その保険を使い続けると、後から医療費の返還を求められることがあります。離婚日以降に受診している場合は、保険の切り替え状況を健康保険者と医療機関に伝えてください。
また、国民健康保険料や国民年金保険料は、手続きした日ではなく資格変更の時点にさかのぼって計算されることがあります。未手続きの期間をそのままにせず、資格喪失証明書がまだ届かない場合も、元配偶者の勤務先や市区町村へ相談してください。
離婚後の扶養変更で最初に確認すること
まず、元配偶者の勤務先または健康保険者に「離婚日を基準に、健康保険の扶養から外れる日と必要書類を確認したい」と伝えてください。その後、自分の勤務先の健康保険に入るのか、国民健康保険へ加入するのかを決めます。
あわせて、国民年金第3号からの変更、勤務先での税金の申告、子どもの健康保険や児童手当の受給者変更も確認しましょう。健康保険・年金・税金・子どもの制度はそれぞれ別の手続きなので、一つの届け出だけで全てが変更されるわけではありません。







